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受発注業務はなぜDXが進まないのか?FAXや電話の注文がなくならない3つの理由

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工務店の担当者がFAXで送った注文書を、建材卸の担当者が基幹システムに入力しているイラスト

受発注システムを導入したのに、取引先からの注文は相変わらずFAXで届く。

Web発注への切り替えを案内しても、なかなか使ってもらえない。結局、注文書を見ながら基幹システムに入力する毎日が続いている。

受発注DXが進まないのは、システムの機能だけが原因ではありません。 システムを導入して楽になる会社と、使い方を変える必要がある会社が違うことも、大きな要因です。

この記事では、FAXや電話の注文が残る3つの理由と、現場に合った受発注DXの進め方を紹介します。

受発注DXで減らしたい仕事

受発注業務では、注文を受けてから基幹システムに登録するまでに、多くの手作業が発生します。

FAXの注文書を読み、品番や数量を確認して入力する。メールで届いたExcelやPDFも、結局は人が打ち直す。

こうした転記作業を減らすことが、受発注DXの第一歩です。

その方法は、すべての取引先にWeb発注を使ってもらうことだけではありません。今の注文方法を維持したまま、受注側でデータ化する方法もあります。

受発注DXが進まない3つの理由

1. システムを使う側にメリットが少ない

Web発注システムを導入しても、取引先が使ってくれない。そんなケースは珍しくありません。

受注側は入力作業を減らせますが、発注側には新しい画面の操作やID・パスワードの管理が発生します。

特に、複数の仕入れ先と取引している工務店では、仕入れ先ごとに異なるシステムを使い分けなければならないこともあります。

Web発注への切り替えで、手間が増える側と楽になる側を比べた図。左は10社から仕入れている発注側の工務店で、FAXなら注文書に書いて送るだけで仕入れ先が何社でも同じ手順だが、Web発注なら仕入れ先ごとにIDとパスワードと画面が別になり、覚える画面が10種類に増える。右は120社に卸している受注側の建材卸で、FAXなら届いた注文書を基幹システムに1件ずつ転記するが、Web発注なら注文がデータのまま届いて転記がいらず、入力の手間と打ち間違いが減る。切り替えの手間を払うのは発注側、楽になるのは受注側で、受注側は取引を失う心配から強くは頼めない

受注側にとっては便利でも、取引先にとっては負担が増えるだけかもしれません。

さらに、取引先との関係を考えると、FAXをやめてほしいと強くお願いするのも簡単ではありません。

相手にとってのメリットがなければ、システムを導入しただけでは注文方法は変わらないのです。

2. 電話やFAXには、注文以外のやり取りも含まれる

現場の注文は、品番と数量を指定するだけとは限りません。

  • 「前回と同じものをお願いします」
  • 「明日の分に2箱追加してほしい」
  • 「欠品なら別の商品でも構わない」

こうした相談や急な変更は、電話やFAXで行われることがあります。

Web発注に切り替えても、例外的な注文に対応できなければ電話は残ります。 Webと電話の両方を確認する必要が生じ、かえって管理が煩雑になることもあります。

注文方法を変えるなら、通常の注文だけでなく、例外的なやり取りへの対応も考えておく必要があります。

3. 取引先ごとのルールが担当者に依存している

取引先ごとに、品名や数量の書き方は異なります。

例えば、同じ商品でも、A社は「コーススレッド90」、B社は「ビス90mm」と記載する。さらに「1箱」が50本なのか100本なのかも、取引先によって違う場合があります。

担当者は、こうしたルールを把握したうえで、正しい品番や数量に読み替えて入力しています。

取引先3社の注文が、担当者の頭の中の読み替えを通って基幹システムに入力されるまでを並べた図。A社のFAX「コーススレッド90 1箱」は、A社の1箱は50本入りで品番CS-090と読み替え、CS-090を50本と入力する。B社のFAX「ビス 90mm 1箱」は、B社の1箱は100本入りで同じ品番CS-090と読み替え、CS-090を100本と入力する。C社の電話「前回と同じのを、至急で」は、前回の注文がCS-090を1箱50本で、C社の至急は午前着のことと読み替え、CS-090を50本、午前着と入力する。同じ品番でも取引先ごとに書き方と単位が違い、真ん中の読み替えはどこにも書かれていない

問題は、そのルールがマニュアル化されていないことです。ベテランなら対応できても、別の担当者では判断できないことがあります。

AI-OCRで注文書を読み取れても、取引先ごとの数量換算や品番の対応関係がわからなければ、結局は人の確認が必要です。

文字を読み取るだけでなく、取引先ごとのルールを適用し、基幹システムに登録できるデータへ変換することが重要です。

AIを使った検証が本番運用につながらない理由については、生成AIのPoCが本番に乗らない理由でも紹介しています。

受発注DXの進め方

受発注DXは、すべての取引先に同じ対応を求める必要はありません。

まずは注文の届き方や処理方法を整理し、取引先ごとに進め方を変えることが大切です。

受発注業務のDXの進め方を示した図。まず注文の入口と取引先ごとの読み替えを書き出し、そこから2つに分かれる。取引先に頼める場合は、取引先に入口を変えてもらい、Web発注やEDIでデータのまま届いた注文を基幹システムにそのまま登録する。注文が多い取引先や、すでに業界のプラットフォームを使っている取引先に向く。取引先に頼みにくい場合は、入口はそのままにして、FAX・メール・電話で届いた注文を受注側で読み取り、読み替えルールを当てて基幹システムに登録する。小さな取引先が多い場合や、切り替えをお願いしにくい場合に向く。どちらの方法でも、マスタにない品番や数量の桁違いのような判断に迷う注文だけを人が確認する

1. 注文の届き方と処理方法を整理する

最初に、次の情報を整理します。

  • FAX・電話・メール・Web・EDIごとの注文件数
  • 取引先ごとの品番や数量の読み替えルール
  • 急ぎの注文や欠品時の対応方法

入力担当者にも話を聞き、どこで手間がかかり、どんなときに修正が発生するのかを把握します。

これだけでも、優先的に改善すべき業務が見えてきます。

2. Web発注への切り替えは、メリットのある取引先から

注文件数が多く、繰り返し注文する取引先なら、Web発注によって双方の手間を減らせる可能性があります。

すでに業界の受発注プラットフォームを利用している取引先も、切り替えを進めやすい相手です。

導入時は、備考欄や追加注文など、現場で必要なやり取りにも対応できるようにします。

3. 切り替えが難しい取引先は、受注側でデータ化する

取引先が多い場合や、注文方法を変えてもらうのが難しい場合は、受注側でデータ化する方法が有効です。

FAXやメールで届いた注文書を読み取り、取引先ごとのルールを適用して、基幹システムに登録できる形式へ変換します。

マスタにない品番や数量の異常値など、判断が必要な注文だけを人が確認する仕組みにすれば、全件を手入力する必要がなくなります。

電話の注文も、聞き取った内容を決まった様式で記録することで、同じ処理につなげられます。

大切なのは、すべてを自動化することではありません。 人が全件を入力する状態から、必要な注文だけを確認する状態へ変えることです。

まとめ

受発注DXが進まない背景には、取引先との利害の違い、電話やFAXに残る細かなやり取り、担当者に依存した読み替えルールがあります。

進める際は、次の3点を意識しましょう。

  1. 注文の流れを整理する。
    入口ごとの件数や、取引先ごとの処理ルールを把握する。
  2. 切り替えは相手にもメリットがある取引先から進める。
    注文方法を変える負担を考慮する。
  3. 切り替えが難しい取引先は、受注側でデータ化する。
    今の注文方法を維持しながら、転記作業を減らす。

受発注DXの目的は、すべての取引先に同じシステムを使ってもらうことではありません。取引先との関係を維持しながら、受注側の手作業を減らすことです。

弊社の「マルゴト受発注DX」では、紙・FAX・メール・EDIで届く注文を、取引先ごとの読み替えルールも含めて基幹システムの形式に変換します。

「FAXの注文が多く、入力作業を減らせない」「AI-OCRを導入したものの、確認や修正が残っている」といった課題があれば、お気軽にご相談ください。

ライター

feeed編集部 / フィード株式会社

フィード株式会社のコラム編集部です。PoC開発・新規事業開発・受託開発の現場で得たことを、発注する側の判断に役立つ形で書いています。

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